「リフォームしたいけれど、壁や床を大きく壊す工事まではしたくない」
そんなときに選択肢となるのが、今ある住まいをできるだけ活かす「壊さないリフォーム」です。
窓や玄関ドア、屋根、外壁、床などには、既存部分をすべて撤去せずに新しいものを取り付ける「カバー工法」や「重ね張り」と呼ばれる方法があります。
解体する範囲を少なくできれば、工事にかかる費用や期間、廃材などの負担を抑えられることもあります。
今回は、どんな場所に「壊さないリフォーム」が使えるのか、具体的な商品例も交えながら紹介します。
壊さないリフォームなら、ローコスト&スピーディー?
既存部分を活かすリフォームの大きな特徴は、必要以上に壊さないことです。
一般的なリフォームでは、古いものを撤去するための解体費や処分費、さらに壊した壁や床などを元に戻す復旧工事が必要になることがあります。
まだ使える部分を残すことができれば、こうした工程を減らし、費用や工期を抑えられる可能性があります。
POINT 01
確認申請が不要な工事に対応
工事内容によっては建築確認などの手続きが不要な場合があります。その場合、申請に伴う時間や負担を抑えることができます。
POINT 02
大がかりな解体工事を抑える
使える壁・屋根・床などを残し、必要な部分をリフォームすることで、解体・撤去・復旧する範囲を減らせます。
POINT 03
住みながらリフォームしやすい
工事範囲を抑えられれば、仮住まいや引越しをせず、普段の生活を続けながら工事できる場合があります。
「壊さない=傷んだところを隠す」ではありません
「壊さないリフォーム」は、傷んでいる部分をそのまま覆い隠す工事ではありません。
雨漏りや腐食、下地の傷み、床の沈みなどがある場合は、まず原因を確認して必要な補修を行います。
状態によっては、既存部分を撤去して内部を確認した方がよい場合もあります。
「壊さないこと」を目的にするのではなく、「まだ使える部分は活かし、直す必要がある部分はきちんと直す」と考えることが大切です。
| 比較項目 | 大がかりな解体を伴う工事 | 既存部分を活かす工事 |
|---|---|---|
| コスト | 解体・撤去・処分・復旧費が必要になりやすい | 工事範囲を減らすことで費用を抑えられる場合がある |
| 工期 | 解体や復旧など工程が増えやすい | 工程を短縮できる場合がある |
| 廃材 | 撤去する材料が多くなりやすい | 使える部分を残すことで廃材を減らしやすい |
| 暮らしへの影響 | 工事範囲によって仮住まいが必要になることも | 住みながら施工できる場合がある |
どこを「壊さず」にリフォームできる?
壊さないリフォームは、家のさまざまな場所で検討できます。
- 窓まわりの寒さ・暑さが気になる
- 玄関からのすき間風やドアの傷みが気になる
- 屋根や外壁の劣化が気になってきた
- 床の傷や汚れ、古さが気になる
ここからは、実際にどのような商品や工法があるのかを見てみましょう。
窓・玄関|壁を大きく壊さず断熱リフォーム
窓や玄関は、外の暑さ・寒さの影響を受けやすい場所です。
現在は、既存の窓やドア枠を活かしながら施工できる商品も増えています。
内窓
インプラス
今ある窓の室内側に、もう一枚窓を取り付ける方法です。
既存窓を撤去する必要がなく、窓が二重になることで断熱性の向上や結露対策、防音などが期待できます。
取付スペース、窓枠の状態、カーテンや家具との干渉、二重になった窓の操作性など。
取替窓
リプラス
古くなった窓を新しい窓へ交換したい場合には、既存の窓枠を利用するカバー工法があります。
壁を大きく壊すことなく窓そのものを新しくでき、見た目だけでなく断熱性能の向上も期待できます。
窓の種類・寸法・周囲の状態、施工後の開口寸法や段差など。
玄関ドア
リシェント玄関ドア3
既存の玄関ドア枠を残し、その上から新しい枠を取り付けるカバー工法です。
壁やタイルを大きく壊す工事を避けやすく、玄関の見た目だけでなく、断熱性や鍵の使い勝手なども見直すことができます。
既存枠の状態、開閉スペース、床との納まり、鍵の操作方法、断熱仕様など。
屋根・外壁・床|今ある部分を活かして美しく
窓や玄関だけでなく、屋根・外壁・室内床にも、既存部分を活かした工法があります。
屋根材
T・ルーフ
既存の屋根を活かし、その上から新しい屋根材を施工する方法があります。
既存屋根をすべて撤去する方法と比べ、撤去する材料や廃材を減らせる場合があります。
既存屋根の種類、雨漏りの有無、下地の状態、荷重や各部の納まりなど。
外装材
Danサイディング
既存の外壁を活かし、その上から新しい外装材を重ね張りする方法です。
塗装とは違った外壁リフォームの選択肢で、柄や色を変えることで住まいの印象も大きく変えられます。
ひび割れ、水の侵入、下地の状態、窓や配管など周辺部分との取り合い。
床材
リノバ うわばReフロア
今ある床の上から新しい床材を重ねて施工する方法です。
既存の床をすべて剥がす必要がないため、床をきれいにしたいときの選択肢になります。
ただし、床が沈む、ふわふわする、強くきしむ場合は、下地に問題がないか先に確認することが重要です。
床の浮き・沈み・きしみ、扉の開閉、段差、床暖房などとの適合。
気になる場所だけ?一部屋?家全体?
「壊さないリフォーム」は、家全部を一度に工事する必要はありません。
予算や困りごとに合わせて、工事する範囲を考えることができます。
① 部位ごとの改修
窓、玄関ドア、屋根、外壁、床など、気になる場所からリフォームする方法です。
「寝室の窓が寒い」「玄関ドアが古くなった」「リビングの床だけきれいにしたい」といった場合にも検討できます。
② 一部屋の改修
家全体ではなく、リビングや寝室など、長い時間を過ごす部屋を中心に断熱性を高める方法もあります。
窓・壁・床などを組み合わせて改善することで、よく使う空間から快適性を見直すことができます。
③ 家全体の改修
築年数やこれからの暮らし方によっては、住まい全体の断熱性能をまとめて見直すという選択肢もあります。
壁・天井・床の断熱や、高断熱の窓・玄関ドアなどを組み合わせ、家全体の性能向上を目指します。
どこまで工事するかは、まず家の状態を確認してから
「カバー工法にしたい」「できるだけ壊したくない」と考えていても、最初から工法を決めてしまう必要はありません。
壊さないリフォームのよくある疑問
一律には判断できません。既存部分や下地の状態を確認し、傷みがある場合は必要な補修や撤去を検討します。
必ずではありません。補修工事や付帯工事、選ぶ商品・仕様によって費用や工期は変わります。
工事する場所や範囲によります。多くの場合は暮らしへの影響を抑えながら進められますが、一時的に部屋や出入口が使えないこともあります。
「カバー工法だから必ず不要」とは限りません。建物の条件や工事内容によって必要な手続きが異なります。
商品名が分からなくても大丈夫です。「窓が寒い」「床が古くなった」など、困っていることから工事方法を検討できます。
まとめ|残せるものを活かして、必要なところを直す
リフォームは、古いものをすべて壊して新しくする方法だけではありません。
窓・玄関・屋根・外壁・床などは、既存部分の状態が良ければ、カバー工法や重ね張りによって今ある住まいを活かせる場合があります。
解体する範囲を減らすことで、費用や工期、廃材、暮らしへの負担を抑えられる可能性があるのがメリットです。
一方で、雨漏りや腐食、下地の劣化などがあれば、必要な補修を行うことが優先です。
「壊さないこと」そのものを目的にするのではなく、残せる部分は上手に活かし、直す必要がある部分はきちんと直す。そんな考え方も、これからのリフォームの選択肢のひとつです。