家を傷める原因としてよく耳にする「シロアリ」。 床下にシロアリがいると聞くと、「大変!」と思う方も多いのではないでしょうか。
では、もうひとつの「湿気」はどうでしょう。
「湿気くらいなら、シロアリほど怖くないのでは?」 と思うかもしれません。
ところが、家を長持ちさせるという視点で考えると、 実はシロアリだけでなく「湿気」にこそ注意したい理由があります。
なぜ湿気がそんなに怖いのか。 今回は、普段はなかなか見ることのできない「床下」を中心に解説します。
シロアリと湿気、結局どちらが怖い?
もちろん、シロアリは怖い存在です。 柱や土台などの木材を食害し、被害が進めば建物の強度に影響することがあります。
しかし、湿気はシロアリとは少し違います。
湿った状態が長く続くことで、 木材の腐朽・カビ・金物の腐食など、さまざまな住宅の劣化につながるからです。
さらに、湿気の多い環境とシロアリによる蟻害も、まったく無関係ではありません。
↓
木材が湿った状態になる
↓
腐朽・カビ
+
金物の腐食
+
蟻害にも注意
つまり、シロアリだけを対策すれば家の劣化対策が終わるわけではありません。
家を長持ちさせるためには、「水分をためないこと」がとても重要なのです。
まずは「シロアリ」が怖い理由
シロアリの怖さは、 家を支えている木材を食害することです。
特に床下には、土台や柱など住宅を支える重要な木材があります。
シロアリは木材の内部を食害するため、 表面から見ただけでは被害に気づきにくい場合があります。
● 羽アリを見かけた
● 基礎などに土でできた筋のようなものがある
● 木材がスカスカになっている
● 床がフワフワ・ブカブカする
● 玄関や水まわり付近の木部が傷んでいる
こうした症状があるからといって、必ずシロアリがいるとは限りません。 ただし、床下を確認するひとつのきっかけになります。
では、なぜ「湿気」の方が厄介なの?
シロアリには「木材を食べる」という分かりやすい怖さがあります。
一方の湿気は、目に見えにくく、 すぐに家が壊れるわけでもありません。
そのため、 「少しくらい床下が湿っていても大丈夫だろう」 と思われがちです。
ところが、この「湿った状態が続く」ことが問題です。
木材に水分が多い状態が続けば、 木材を腐らせる腐朽菌が活動しやすい環境になります。
腐朽が進むと木材そのものが弱くなり、 土台や柱、床組など住宅を支える部分の強度低下につながる可能性があります。
湿気が多い状態を放置すると、 木材の腐朽だけでなく、カビや金属部分の腐食など、 住宅のさまざまな場所に影響する可能性があります。
シロアリだけじゃない「木材の腐朽」
床下の木材が傷んでいると聞くと、 「シロアリかな?」と思う方も多いと思います。
しかし、木材を弱らせる原因はシロアリだけではありません。
腐朽菌によって木材そのものが腐ってしまう「木材腐朽」 にも注意が必要です。
腐朽が進んだ木材は、 触ると柔らかくなっていたり、ボロボロと崩れたりすることがあります。
つまり、
シロアリ → 木材を「食べる」
腐朽菌 → 木材を「腐らせる」
原因は違いますが、 どちらも家を支える木材の強度を低下させる可能性があります。
さらに「湿気」と「シロアリ」は無関係ではない
ここが今回、特に知っておきたいポイントです。
床下の湿気とシロアリ被害は、 まったく別々の問題として考えない方がよいでしょう。
雨漏りや漏水などによって木材が濡れた状態が続けば、 腐朽などが起こりやすくなります。
また、木材の腐朽と蟻害が同時に見つかることもあります。
↓
木材に水分がたまる
↓
腐朽などが起こりやすくなる
↓
蟻害にも注意
だからこそ、 「シロアリがいないから床下は大丈夫」とは言い切れないのです。
床下の湿気はどこから来る?
床下が湿っぽくなる原因はひとつではありません。
● 地面から上がってくる湿気
● 床下の風通しが悪い
● 換気口の前が物や植物などでふさがれている
● 給排水管から水が漏れている
● 雨水が建物の周囲にたまりやすい
● 雨漏りによって木材が濡れている
● 結露によって水分が発生している
大切なのは、 単に「湿気が多い」で終わらせず、水分がどこから来ているのかを確認することです。
特に怖いのが「気づかない水漏れ」
床下の湿気というと、 梅雨や雨の日を想像するかもしれません。
しかし、注意したいのが給排水管などからの漏水です。
床下で少しずつ水が漏れている場合、 普段生活しているだけではなかなか気づけないことがあります。
その状態が長く続けば、 周囲の木材が常に湿った状態になってしまいます。
湿気対策を考える前に、 雨水なのか、漏水なのか、結露なのか、地面からの湿気なのか。 まず原因を確認することが重要です。
こんな症状があったら床下をチェック
床下は普段見えませんが、 室内に変化が現れることがあります。
□ 床がフワフワ・ブカブカする
□ 部屋や押入れがカビ臭い
□ 床や畳に湿っぽさを感じる
□ 水まわりの床が沈む感じがする
□ 基礎まわりに蟻道らしきものがある
□ 羽アリを見かけた
□ 雨漏りや水漏れをしたことがある
□ 床下を長い間、一度も確認していない
当てはまる項目があるからといって、 必ず腐朽やシロアリ被害が発生しているわけではありません。
ただし、 一度床下の状態を確認してみるきっかけにはなります。
一番怖いのは「見えないところで進む」こと
シロアリ被害も木材の腐朽も、 初期の段階では室内から気づきにくいことがあります。
そして床下は、普段の生活ではほとんど見ることがありません。
そのため、 リフォームで床を解体したときや床下を点検したときに、 初めて木材の傷みが見つかることもあります。
床がフワフワする、沈む、カビ臭いなど、 今までになかった変化が現れたら、 見える部分だけで判断せず床下の状態も確認してみましょう。
湿気対策は「原因を見つけてから」
床下が湿っているからといって、 すべての家に同じ湿気対策をすればよいわけではありません。
原因によって必要な対応は変わります。
漏水 → 配管などを修理する
雨水 → 雨水の侵入原因を直す
換気 → 床下の通気状態を確認する
地面からの湿気 → 防湿対策などを検討する
腐朽 → 傷んだ木材の状態を確認する
シロアリ → 被害箇所や侵入状況を確認する
大切なのは、 いきなり対策を決めるのではなく、 「なぜ床下が湿っているのか」を先に調べることです。
シロアリより先に「湿気」を見てほしい
「シロアリと湿気、家にとって怖いのはどっち?」
シロアリはもちろん注意が必要です。
しかし、家を長持ちさせるという視点では、 その背景にある「水分・湿気」に目を向けることがとても大切です。
湿気を放置すると、 木材の腐朽やカビ、金物の腐食などにつながる可能性があります。 さらに、蟻害について考えるうえでも無視できません。
シロアリだけを見るのではなく、
床下全体の環境を見ることが大切です。
床の沈みやカビ臭さ、羽アリ、水漏れなど、 「今までと少し違うな」と感じることがあれば、 一度床下の状態を確認してみましょう。