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備前焼作家で人間国宝、文化功労者の伊勢崎淳(いせざき・じゅん)さんが7月11日に亡くなりました。90歳でした。伝統を大切にしながらも、常に新しい表現へ挑み続けた伊勢崎さん。その90年の歩みを振り返ります。
「新作を作り続けたい」最後まで創作への情熱
2025年秋、伊勢崎さんは取材で今後の目標について語っていました。
「新作を作りたい。90歳だからどこまでできるか分からないが、それしか私の道はないので、行けるところまで行きたい」
千年の歴史を持つ備前焼。その伝統を受け継ぎながらも、新たな可能性を追い求める姿勢は最後まで変わることはありませんでした。
備前焼の名家に生まれ、伝統を学ぶ
1936年、備前焼作家で岡山県重要無形文化財保持者だった伊勢崎陽山氏の次男として備前市に生まれた伊勢崎さん。
若い頃から中世の穴窯の復元や伝統技法の研究に取り組み、備前焼の歴史と向き合いながら技術を磨いてきました。
網膜剥離が転機に「好きなことを思い切りやろう」
40代の頃、伊勢崎さんは網膜剥離を患い、一時視力を失いました。
暗闇の中で過ごした約2か月間、「これからは思い切り自分の好きなことをやろう」と決意。
この経験をきっかけに、伝統だけにとらわれず、自由な発想で作品づくりに挑戦するようになります。
伊勢崎さんは当時、「備前焼の可能性は無限にある」と語り、新たな表現を追い求め続けました。
総理官邸の陶壁も手掛けた革新的な作品
大型のレリーフやモニュメント、現代的な造形作品など、伊勢崎さんは備前焼の新しい世界を切り開きました。
2002年には総理官邸の陶壁を制作し、2004年には備前焼作家として5人目の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
人間国宝認定後には、「伝統とは新しい挑戦の積み重ねによって築かれるもの。自分なりの個性と独自性を持った作品を作り続けたい」と、その思いを語っています。
遺作に込めた後進へのメッセージ
晩年に手掛けた代表作の一つが、2025年に開館した備前市美術館のモニュメント「土と炎の記憶」です。
伊勢崎さん自身が「一番の出来栄え」と語ったこの作品には、60年以上にわたる創作人生の集大成と、次世代への思いが込められています。
最後に後進へ向けて残した言葉は、「備前焼の特徴を最大限に生かした独自の焼き物を目指してほしい。そのためには世界へ目を向けることが大切」というものでした。
伝統を守るだけでなく、新たな可能性を切り開き続けた伊勢崎淳さん。その挑戦の精神は、これからも備前焼の世界で受け継がれていきます。
詳しい背景や追加情報については、参照元の記事もあわせてご確認ください。
参照元
※この記事は、公開情報をもとにくらすまが読みやすく整理しています。(確認日:2026/07/15)